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外国人入試 ≫

 外国人と話していると、日本語が通じない時があります。
 それを勘違いして、通じていると思いこんでしまう時があります。
 相手は日本語が通じていないのに…。

 それで時々同僚の日本語教師とも『あいつは日本語が通じていない。』『いや、通じてる。』だのと意見が分かれたりもします。

 …っつうか、私たちも経験しているでしょう。
 海外旅行で、ホテルのフロントで、英語の説明を聞いて、分らなくてもつい『イエス』って。

 日本語が上手になった外国人でさえ、時々、そういうことが起きます。
 特にトラぶって、パニックになっているような時、彼らは母国語で思考しています。
 その結果、よくわからない日本語でも、つい、うなづいてしまうんです。

 それでトラブルが起きました。



 外国人の大学入試は、6月の留学試験が大切です。11月ではありません。

 この私の言葉を思い知る季節になりました。

 そんな中、うちのエースと思われる中国人学生が、6月に受験した日本留学試験の受験票を無くしました。

 彼は、6月の留学試験で高得点をとっているので、11月を受験するくらいなら、大学の個別試験のための勉強をした方がいい、ということで11月を受験させませんでした。

 その彼が受験票を無くしたのです。

 ただ、再発行してもらえば簡単です。

 ところが、ここで問題が起きました。

 担当者が『スコアもないの?』

 と聞くと彼は、

 『はい。』

 と答えたのです。

 『スコア…。』


 受験番号が分らなければ、再発行はできません。
 実は、受験番号の控えのためにコピーしていた資料を、手違いで処分していたのです。
 そして、いろいろ調べた結果、無理そうだということで、その担当者は

 『コピーがないと再発行はできない。』

 と答えたようです。


 絶望です!

 彼が目指していたのは早稲田大学、慶応大学、上智大学!

 11月試験を受けないため、出願は絶望!!!

 どうしたらいいのか?


 丸1日悩み、苦しんだのでしょう。

 ぽつりとメールを送ってきました。

 以下、メールのやりとり。



彼『お忙しいところをどうもすみません。明日、ちょっと相談していいですか?今日は悪い1日でした。』

私『おう!どうした?』

彼『11月の留学試験と一級の試験を申し込みませんでした。早稲田と上智は受験票がないからダメになりました。慶応は一級の試験の成績がいるので。』

私『誰がダメになったと言いましたか?』

彼『出願書類に受験票と一級試験の成績が書いてあったんです。いけないみたいです。』

私『だからどうした?』

彼『6月の受験票をなくしました。』

私『再発行してもらえ。』

彼『再発行できないんです。』

私『誰が言った?』

彼『○○さん(前述の担当者)』

私『ちょっと待て。授業中。』


 なんと、私は(日本人の)予備校の授業で、生徒に問題演習をやらせている際、こっそりとメールしてました(爆笑)!酷い先生だ!!
 授業後、喫煙室から。


私『○○さんは、なぜ再発行できないと言いましたか?』

彼『資料にそう書いてあると言っていました。』

私『どの資料だ?』

彼『留学試験の資料に、そう書いてあるみたいです。』

私『受験番号は分からないのか?』

彼『成績通知書はあります。』

私『なぜダメなんだ?』

彼『それは…○○さんがそう言ったから…。』

私『コピーがないと再発行できないかどうか“自分の目”で確かめろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!いいかげん、怒るぞ!!!!!!!!!!!!!!!本気で入りたければ、たとえダメでも、最後の最後の最後まであきらめないであがくんだよぉぉぉぉ!!!!!!!俺はそんな奴しか応援しない!!!!!!』

彼『ごめんなさい。私がそれを聞いてあわててしまいました。最後の最後まで頑張ります!』


 そして、その後、実際のことを説明し、最後に彼へのメッセージの言葉を送りました。

 そのメッセージへの返信。


彼『はい。ありがとうございました!本当にありがとうございます。本当にありがとうございます。合格するまで頑張ります!ありがとうございます。ありがとうございます。』


 雨降って、なんとやら…。



 習慣の違いというか、中国人はどうも日本人の言うことよりも、中国人同士の議論を信用するようで、何もしないうちにから『だめだ』と、すぐ結論を出してしまいます。勝手に思い込んで、勝手に結論づけてしまいます。

 まぁ、この場合、担当者が悪かったんですが、どうもよく相談もせず、自分たち同士で話し合って、勝手に結論を出してしまいます。
 言葉の行き違いから勝手に想像し、それを、他の中国人たちと相談し、『もうダメだ。』と結論を出してしまいます。
 自分で確かめようとせず、また、他の方法を考えようとせず、思い込みで結論づけ、ちょっと話せばすべて解決してしまうような問題で激しく悩んでしまいます。



 彼らと接しすぎると、私たちは、ついつい彼らが外国人であることを忘れてしまいます。日本語が通じているかどうか確認もせず、相手の返事を信じてしまいます。そんなところも気をつけてやらなければならないのが日本語教師の仕事でしょう。
 一歩下がって、常に彼らの言葉と行動を見なければトラブルが起きてしまう、それが異文化交流の難しさだと思います。

 それが分らないから、時には傷つき、傷つけ、涙し、苦しむんです…。








 言葉って、すごいですよね。

 それを教える日本語教師って、本当はすごい仕事なんです!!!
 けど、私に言わせると『日本語狂師』ばかり。





 激しく悩んだ彼でしたが、ようやく火がついてくれたようです。

 普段から、何でもやる前から『ダメだ!』と結論づけていた彼も、これをきっかけに大きく変わってくれました。






 そんな彼へ送った、最後のメッセージ。


























 『我々の前には必ず道がある。しかし、その道は、決して一本ではない。』














 私も信じています。

 『言葉のチカラ』を…。